ツタのある家は塗装できる?
2025/7/25 Friday
「緑に囲まれたツタの家、憧れるなぁ」 「昔からツタが這ってて、なんだか味があって気に入ってる」
そんな“絵になる外観”として人気のあるツタのある家。 けれど、いざ外壁塗装をしようと思ったときに立ちはだかるのが——
**「ツタ、どうすればいいの?」**という問題です。
この記事では、ツタが外壁に与える影響や、塗装時に必要な処理、 場合によっては放っておくと起こるトラブルまで、実例を交えてご紹介します。
ツタは外壁の“守り”ではなく、“敵”になることも
ツタが生い茂る家は、まるでヨーロッパの古民家のような雰囲気を演出してくれます。 しかし、ツタが壁に与える影響は意外にも大きく、次のようなリスクがあります。
❌ 壁の内部に根が入り込む
ツタの根は細く強く、壁のわずかな隙間にも入り込んでしまいます。 その結果、モルタルのひび割れや外壁材のめくれなどを引き起こします。 根が乾燥しても、壁にこびりついたままになるケースも多く、 そのまま塗装すると、塗膜の密着が悪くなり、早期剥離の原因になります。
❌ 湿気がこもる
ツタがびっしり生えていると、外壁が常に日陰になるため乾きにくく、湿気がこもります。 これがカビや苔、ひどいときには内部の腐食の原因に。 特に風通しの悪い北側や隣家との距離が近い面に生えている場合、 湿気がこもりやすく、建物の寿命を縮めてしまう可能性があります。
❌ 剥がすと外壁が一緒に…
ツタを無理に引っ張って剥がすと、塗膜や壁材まで一緒に剥がれることがあります。 この場合、塗装前に大がかりな補修が必要になります。 ひどい場合は外壁の一部を張り替えることになるため、 撤去作業も慎重に行う必要があります。
塗装前には“撤去+下地補修”が必須!
ツタのある外壁を塗装する場合、いきなり塗ることはできません。 必ず以下のステップが必要になります。
✅ ① ツタの撤去
生きている状態のツタは、まず剪定・引きはがしを行います。 ツルが絡みついている部分を1本ずつ丁寧に取り除き、 根本からカットして枯らしていきます。 時間をかけて丁寧に、なるべく外壁を傷つけないように撤去します。
✅ ② 根の処理
ツタの根は目に見えないレベルで壁に食い込んでいることも。 そのため、薬剤で根を枯らす・壁の下地を削って整えるなどの処置を行います。 この処理を怠ると、再発や塗膜の膨れ・剥離が起きやすくなります。
✅ ③ 下地補修
ツタによるひび割れ、剥がれ、カビなどがある場合は、塗装前に必ず補修作業が必要です。 ここを省くと、どんなにいい塗料を使ってもすぐに不具合が出てしまいます。 ひび割れの補修やカビ取り、防カビ処理など、塗装の下準備に時間をかけることが重要です。
実際の事例:横浜市 I様邸(築35年 木造2階建)
I様のお宅は、玄関側以外の3面にツタが生い茂っており、外壁はほぼ見えない状態でした。 長年「自然の断熱材」としてそのままにしていたそうですが、塗装のタイミングでご相談いただきました。
・ツタ撤去だけで約3日間
・根のこびりつきにより、下地のモルタルが一部剥離
・高圧洗浄では落とせず、手作業で根を削る対応
・壁のひび割れ補修後、通常通り塗装完了
結果として、「ツタを取って本当に良かった」とのお声をいただきました。 放っておけば、**数年後に雨漏りにつながっていたかも…**というレベルでした。
また、ご近所からも「家が明るくなったね!」と声をかけられるようになり、 見た目も機能もリフレッシュされたとのことです。
ツタを残したい人はどうすればいい?
「ツタのある雰囲気は気に入ってるから、全部撤去したくない」 という方もいらっしゃると思います。
そんな場合は:
・壁の一部だけツタを残すプランを考える
・ツタを植え直す場所を調整し、根が壁に影響しないようにする
・塀やフェンスに誘引して、外壁から離すなどの工夫もおすすめです。
実際に、塀にワイヤーを張って、外壁には触れないように誘引しているお宅もあります。 塗装後に再びツタが成長してくると、また同じ状態に戻ってしまいますので、 見た目とメンテナンス性のバランスを考えて選ぶことが大切です。
ツタがある家こそ、まずは点検を!
ツタのある家は一見魅力的でも、外壁にとってはリスクも伴います。
・壁の傷みが進行している可能性
・塗装前の撤去・補修が必要になる
・剥がし方を間違えると大きなトラブルに
大切なのは、「今どうなっているか」を知ること。 ツタを愛しつつ、家を守るために、まずは点検から始めましょう。